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2019.03.30

第3回日本臨床肛門病学会を終えて。

 もうすぐ4月になります。あちらこちらで桜も開花して、満開の声も聞こえてきます。いよいよお花見のシーズンになります。今日はチョット雨で、桜の花が散らないことを祈ります。皆さんもお花見などいろいろ予定が入っていると思います。また入学式や入社式。新たな旅立ちに向けて心ワクワクされている方も多いと思います。

 今日は、先日317日に東京の新宿で開催された、第3回日本臨床肛門病学会に参加して感じたことや、今後検討していかなければならないと思うところをお話したいと思います。

学会のテーマは「低位筋間痔瘻の手術」

 さて、今回の臨床肛門病学会のテーマは「低位筋間痔瘻の手術」でした。
 痔瘻は肛門上皮と直腸粘膜との境目にある肛門腺の感染から発生します。Crypt-glandular infection(肛門陰窩肛門腺感染)によって発生して、Anal crypt(肛門陰窩)から侵入した細菌がanal duct(肛門腺管)を通じて内外括約筋間のanal gland(肛門腺)に感染巣を形成することで痔瘻が形成されていきます。したがって、痔瘻を根治させるのには、細菌の侵入口である原発口を確実に処理することが必要です。したがって、痔瘻を根治させるのには、原発口、原発口から原発巣までの瘻管、そして原発巣を切除するか、開放創にする必要があります。

痔瘻の手術のジレンマ

 ここで問題になってくるのが、痔瘻が肛門陰窩から始まり、内肛門括約筋を貫いて二次口に到達するので、どうしても痔瘻の手術では括約筋の損傷を伴うことです。したがって、痔瘻の手術においては根治性を高めるか、括約筋の機能を温存するか、のこの二つを天秤にかけて、どう手術をしていくかを判断しなければなりません。原発口、原発巣、瘻管をごっそり大きく切除すれば、痔瘻の手術の根治度は高まり、再発はしません。ですが、括約筋を大きく損傷することは肛門の機能面に関しては大きなダメージを与えてしまいます。反対に機能を重視して、十分に原発口、原発巣、瘻管の処置が出来ていなければ、機能は温存されますが、再発する可能性が高くなってしまいます。この二つのジレンマが痔瘻の手術には付きまとってきます。

 この問題に対して、今回の臨床肛門病学会ではさまざまな意見交換がありました。

「切開開放術」・「seton法」

 今回の臨床肛門病学会はシンポジウム形式で、前半は「切開開放術」、「seton法」に関するシンポジウムでした。切開開放術もseton法もいずれも方法は違い、できる傷や治り方は違いますが、原発口、瘻管を処理して切除する方法です。切開開放術はやはり低位筋間痔瘻に対しての手術手技の基本となる手術術式です。これをしっかりマスターしていくことが大切です。この手術手技がしっかりできることで、seton法も確実におこなえると考えます。いずれの術式も、しっかりと原発口を確認して、原発巣、そして瘻管を摘出することが重要です。Seton法は特に原発口、原発巣、そして瘻管に確実に輪ゴムがかからなければ治すことができません。確実な診断能力と確実に輪ゴムをかける手技が要求されます。

 切開開放術もseton法もいずれも内肛門括約筋の損傷を伴います。できるだけその損傷を最小限にとどめる手術が必要になります。

「括約筋温存手術」

 後半は「括約筋温存手術」についてのシンポジウムでした。括約筋温存手術は様々な方法が考えられ、試みられています。基本は内肛門括約筋を貫く瘻管は残して原発巣を処理するという手術です。ただ、この術式ですと、どうしても内肛門括約筋内に瘻管が残ること、原発口が残ることなど、再発の可能性があるのではないかと考えます。これらの術式に関しては、今後の長期生成期がどうなっていくのか?長期にフォローすることで、どの程度の再発率なのかをしっかりと検討していく必要があります。

今後の痔瘻の手術

今回の臨床肛門病学会で感じたことは、痔瘻の手術に関しては、手術の根治性と機能温存という相反する命題をいかに解決していくかが重要な課題となること。そしてそれを満たす手術術式を確立させること。また、その手術が特殊な手術ではなく、標準的な手術となるような術式でなければならないということです。このことを目標に、今後も痔瘻の手術はさらに検討が進めれれていくと思います。

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