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2019.05.01

国が進める医師偏在是正策で具体的に何が失われるか。

 前回、「医師偏在を理由に開業規制を進めている情勢について」をお話しました。そこで今日は、国が進めている医師偏在是正策がこれから押し進められていくと、どうなってしまうのか、何が失われてしまうのについて、具体的にお話したいと思います。

京都府において「医師偏在指標」、「外来医師偏在指標」はどうなっているのか。

 国は医師偏在指標と外来医師偏在指標を用いて全都道府県と二次医療圏について、医師多数三次医療圏、少数医療圏、医師多数区域、少数区域、そして外来医師多数区域を叩き台として示しています。では京都はどうなっているかですが、医師偏在指標については、京都府は全国第2位の医師多数三次医療圏とされています。二次医療圏でも京都・乙訓医療圏は全国第10位の医師多数区域です。外来医師偏在指標でも京都・乙訓医療圏は全国第6位、山城南医療圏は第101位で外来医師多数区域です。
また、国は診療科別必要医師数も公表しています。国はあくまで機械的な計算としていますが、そこでも京都府は、臨床検査・脳神経外科以外は、各診療科が軒並み「過剰」と推計されています。
 
こういった状況を踏まえたうえで、渡邉医院が今後どうなるかを考えてみたいと思います。

医師偏在指標、外来医師偏在指標の下で渡邉医院はどうなるか?

 渡邉医院があるのは京都市の上京区です。診療科は肛門科のみです。ちなみに、現在の医療法では「肛門科」と標榜することはできないため、「肛門外科」となっています。このことにも意見はあるのですが、そのことについてはまたの機会にしたいと思います。
 渡邉医院は祖父の時代に開設され私の父そして、私へと継承されてきました。この90年の歴史はとても大切な歴史だと思っています。様々な診断方法や治療法。手術の仕方など歴史が培って今の技術へと進化、発展してきました。これから先もさらなる進化を遂げて、患者さんにその技術を提供していきたいと思っています。しかし、今、国が進めている医師偏在是正策が進められていくと、このことが不可能となってしまう可能性が高いと考えています。

なぜ不可能になるのか。

 さて、それはなぜかということをお話します。
 私は今現在59歳です。今はバリバリと脂がのって診察や治療、手術をしています。でも、今から20年経てば私は80歳になります。おそらく診察はしているだろうと思いますが、手術をしているかどうかはわかりません。
そうなったとき、おそらく私は次の世代にバトンタッチして、継承者してくれる人にこれまでの渡邉医院の歴史、その頃は110年間にもなる歴史の中で培ってきた診断技術や治療方法、そして手術方法などを伝え、さらなる進歩を継承者に託していると思います。でも国の医師偏在是正策が貫徹なれるならば、これが叶わぬ夢となってしまいます。なぜならば、今渡邉医院がある京都市は外来医師多数区域になってしまうことが考えられるからです。継承者への院長交代は「新規開業」です。その場合、外来医師多数区域ですので開業に制限がかかります。さらに肛門科は外科に含まれており、肛門科は少なくても外科が過剰だと推計されれば、外科の新規開業も制限されるかもしれません。外科には外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、気管食道外科、消化器外科、肛門外科、小児外科などが含まれ、すべてが外科としてカウントされるからです。ですから京都に肛門科が少なくても、外科が過剰なため、新規に開業することはできません。こういったことは、すべての医療機関に当てはまることです。これまで培ってきた地域医療や技術などが、継承できなくなってしまいます。このことはとてもおかしなことだと思います。

医師少数区域での親子継承もできなくなる可能性が。

 また今、医師少数区域で開業されている医師がいた場合、例えば息子さんも医師になって、研修を終えて、ある程度実績を積んで、そろそろ親の診療所を継承しようと思った時、息子さんが京都以外で働いていたとしましょう。そうすると、三次医療圏の医師少数医療圏に他の三次医療圏からの医師の確保は行わないこととすると国はしていますから、息子さんは、親の診療所を継承できないということになります。京都府外の医学部で勉強して、京都以外で研修を終え、実績を積んでいざ京都に帰ってこようと思っても、それが出来ないことになってしまいます。このこともおかしなことだと思います。

魅力的な医師、診療所が地域から消えていく。

 こういったおかしなことが起き、これまで地域を支えていた魅力的な医師や医療機関が次々に無くなってしまっていくということになってしまいます。このことは患者さんにとっても、非常に不利益なことになります。
 これ以外にも様々な問題が今国が進めている医師偏在是正策には含まれています。こういった問題点を明らかにして、そして患者さんの力もかりて、今進められている医師偏在是正策を止めて今なければなりません。

医師偏在が起きている本当の理由は。
 

 今起きている医師偏在の最大の理由は、今ある日本の医療封建制度の限界だと考えています。そもそも経済的に疲弊して、人口が減少している地域では患者さんを確保できず、開業しても採算が取れません。医師多数区域から少数区域へと医師を動かしても何ら解決策にはなりあせん。医師偏在が起きてしまった理由は、これまで進めてきた国の誤った政策の結果です。

ではどうしたらいいのか。

 今の医療保険制度の下で医師偏在を是正させるには、国の政策を変え、地域の経済を再生させることしかありません。でもこのことは今すぐできることではありません。それまでの間は、公立の医療機関を配置して、行政の責任で医師を確保するしかありません。医師少数区域では公的な医療機関がその地域の医療保障をカバーしなければなりません。
 また、医師不足地域での開業を可能とする仕組みも検討しなければならないと思います。当該地域での医業の採算ラインを明らかにして、採算点に達しない部分の費用は全額国費で賄う制度などの創設も必要だと考えます。患者さんにとって必要な医療を必要なだけ提供するにはどういった制度がいいのか、それにはどうしていったらいいのかを考え、患者さんとともに良き方向に進めていきたいと思います。

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院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

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