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2019.08.13

一人の患者さんの悩みは、皆の悩み。

 台風10号が近づいてきています。京都では15日の木曜日を注意しなければならないようです。台風による被害が出ないように祈るばかりです。

 今日は少し具体的な例を挙げて肛門の病気についてお話したいと思います。

一人の患者さんの悩みは、皆の悩み

 患者さんはいろんなことで悩まれ、辛い思いをしています。でも皆さん同じような悩みを抱えてられます。一人の患者さんの悩みは、多くの方の悩みに繋がっていきます。

 今回はどんなことに悩まれているかですが、患者さんの訴えは、症状は大きくは次の三つです。

患者さんの訴え、症状

  • 1)肛門にシワのようなものがあって、排便後一生懸命拭いても、洗浄便座で洗浄してもどうしても汚れてしまう。
  • 2)夕方になると肛門が広がったような感じがする。
  • 3)以前にジオンによる治療をしたことがある。

大きくこの三つのことを言われていました。

患者さんは、以前にジオンによる治療を受けたが、肛門にシワのようなものが残っていて、排便後拭いても、洗浄便座で一生懸命に洗浄しても汚れてしまう。また夕方になると肛門が開いたような感じがして違和感があるという症状です。

皮垂(skin tag)が汚れの原因?

まず肛門にあるシワですが、皮垂(skin tag)というものです。内痔核が腫れると肛門の外側が腫れ、内痔核が治まると外側の腫れも治まる。このようなことを繰り返すことで内痔核が出来る外側に皮垂ができることがあります。また排便時に内痔核が脱出して押し込んでいる間に、肛門の外側の静脈が腫れたり、場合によってはそこに血栓が詰まったりして皮垂が出来る場合もあります。皮垂は皮膚のシワですので、悪い病気ではありません。皮垂が痛くなったり、出血することはありません。でも実際皮垂が大きくなってくると排便後も拭きにくかったり、気になることがあります。また、皮垂があることで排便後にトイレットペーパーで激しくゴシゴシ拭くことで肛門に傷が付いたり、皮膚炎になったりすることもあります。とても気になるものがいつも肛門にある。このこともあまりいいことではないと思います。こういった場合は皮垂を切除する場合があります。

 皮垂の切除の場合は入院での手術ではなく、外来での手術になります。約5分程度で手術は終わりますが、術後1時間程度病室で休んでもらって、麻酔が完全に醒め出血がないことを確認してから帰宅してもらっています。

 ただ皮垂があるから洗浄後も汚れてしまうわけではありません。どうしても皮垂があると、きれいにしたいという思いが強くなってしまいます。そうすると、洗浄便座の洗浄が強くなったり、洗浄時間が長くなったりしてしまいます。

以前もお話したことがありますが、あまり強い水圧で肛門を洗浄すると、温水が直腸の中に入っていってしまいます。直腸に入った温水はどうなるかというと、後から出てきてこのことが原因で洗浄しても汚れたり、場合によっては皮膚炎になったりしてしまいます。きれいにしたいという強い思いが反って汚れてしまう原因になってしまいます。洗浄は軽く洗って軽く拭く程度にしておくことが必要です。

ジオンによるALTA療法は皮垂は治さない。

 内痔核に対してジオンでの治療を受けたとのことでした。ただジオンによる四段階注射法による痔核硬化療法(ALTA療法)は、脱出してくる内痔核の治療法です。内痔核は良くなったとしても、内痔核のためにできてしまった皮垂まで治すことはできません。
 では、皮垂を含めて内痔核を治す場合はどうしたらいいかです。
 まず一つ目の方法は、皮垂も含めてしっかり痔核根治術を行って皮垂と内痔核を切除する方法です。
 もう一つの方法は、内痔核に対してはALTA療法を行い、同時に皮垂は切除するという方法です。
 やはり、皮垂を伴った内痔核を治療する際は、その皮垂をどうしたいかをしっかり患者さんに聞く必要があります。
例えば、「皮垂は気にならないので、脱出してくる内痔核だけを治したい。」この場合はALTA療法のみを行うと傷もできませんので術後も痛みなく楽に治していくことが出来ます。
「皮垂も気になるが内痔核まで手術するのは怖い。できれば内痔核は手術したくない。」といった場合は、内痔核に対してはALTA療法を行い、皮垂は切除する。「皮垂も含めて、スッキリ手術して治したい。」この場合は、痔核根治術を行う。こういったように皮垂をどうするかと言ったことを患者さんとよく相談して治療方法を決めていくことが大切だと思います。

夕方になると肛門の具合が悪くなる。

 最後に夕方になると肛門が開いたような違和感があるという症状ですが、診察してみると、やはり内痔核の腫脹がありました。脱出はしてきませんが、どうしても内痔核があると、肛門が広がったような違和感があるようです。また午前中はいいのですが、どうしても肛門は心臓より下にあります。夕方から夜にかけて、どうしても鬱血してきて午前中よりは夕方夜の方が内痔核の腫脹は強くなっていきます。軟膏や座薬でどうしても症状がとれない場合は、パオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)による痔核硬化療法を行うと症状は良くなります。痔核硬化療法を行うことで、肛門がキュッと締まったような感じになります。

患者さんの悩みをしっかり聴くこと。

 ジオンでの治療をしたのに今ある症状はどうして起きるんだろう?皮垂があるから排便後拭いても洗浄しても汚れるんだろうか?など、患者さんの悩みはしっかり聴き、診断することでその原因やそれに対しての治療法が決まってきます。やはり患者さんの訴えをしっかり聴いて、診察に当たることがとても大切だと思います。

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