新着情報

2020.06.27

肛門の手術後の皮垂(スキンタグ)

 今回は、肛門の手術後に起きる皮垂(スキンタグ)についてお話したいと思います。

皮垂の原因

 皮垂のできる原因には様々あります。例えば内痔核が腫れたり治まったりして、このために内痔核が出来る外側に皮垂が出来ることがあります。また裂肛でも皮垂が出来ます。排便時に肛門上皮に傷ができるとその傷の外側が腫れます。切れたり治ったりすることで裂肛の外側に皮垂が出来ます。また裂肛があり、皮垂によって便が引っかかることがあります。このことも原因で皮垂が大きくなってくることがあります。また血栓性外痔核と言って肛門の外側の静脈に血栓が詰まって腫れて痛い病気があります。血栓は徐々に溶けて吸収されていくのですが、腫れが治まって血栓が吸収されても皮垂が出来てしまうことがあります。このように様々な肛門の病気で皮垂はできます。いずれの病気でも、皮垂が出来る原因はそれぞれの病気によって排便時に微小な血栓ができ、そのことによって腫れが生じ、その腫れが引くときに皮垂が出来るとされています。

 さて今回は肛門の手術後の皮垂です。肛門の手術で皮垂が出来る原因には大きく二つあると思います。

術後の傷の腫れ

 一つは、肛門の手術を行った時の傷の周囲の腫れが起きることによってできる皮垂です。特に内痔核の手術を行う時に起きやすいのではないと思います。

手術の際の操作が原因での腫れ

 手術をする際に肛門を広げたり、内痔核を引っ張りながら周囲の組織から内痔核を剥離していきます。そして根部まで内痔核を剥離したら根部の動脈を結紮して切除します。
 こういった手術を行う時の一連の操作によって術後に腫れを生じることがあります。また内痔核の手術をした後、肛門の外側の外痔核部分が手術操作によって腫れたり、術後に血栓が詰まったりすることがあります。

術直後には腫れてこない

 しかし、こういった術後の腫れや血栓形成は、手術を終了した直後には起きてきません。手術を終了した直後にはスッキリ綺麗ないい傷だと思っていても、術後3時間後に傷の状態を観察すると、術直後にはなかった腫れや血栓ができてしまっていることがあります。こういった術後の腫れは、多くの場合が徐々に引き、皮垂とならずに治っていきます。でも場合によっては術後の腫れが引いてもその部分が皮垂となって残ってしまうこともあります。
 この皮垂が気にならない患者さんもいらっしゃいますが、内痔核の脱出がなくなっても、やはりその皮垂が気になる患者さんもいらっしゃいます。そんな時は患者さんと相談してその皮垂を切除することがあります。

術後に皮垂を作らないためには

外痔核成分の処置

 さて、術後の皮垂を作らないようにするにはどうするかです。
 このことはなかなか難しいところです。術直後とてもきれいに手術が出来たと思っていても術後に腫れてしまうことがあります。でもそうならないように気を付けていることがあります。その一つは、内痔核などの手術後に腫れる原因の多くが外痔核部分の腫脹です。ですから内痔核の手術をする際に一番気を付けているところは、この外痔核が出来る部分の静脈がどうなっているかです。
 手術をしている際に、この外痔核部分の静脈が少し腫れてくることがあります。こういった場合は、新しく傷を作ってその外痔核部分を切除するのではなく、内痔核の手術をした傷から、術後に腫れるのではないかと思われる外痔核成分の静脈を切除していきます。このことをアンダーマイニングと言います。内痔核が脱出してくる場合は多くは外痔核成分の腫脹も少なからずあります。こういった場合は、内痔核に対して痔核根治術をする際に、この外痔核部分の静脈をしっかりアンダーマイニングすることを心がけています。

皮垂が合併している内痔核の処置

 また、内痔核だけでなく、皮垂も合併している場合は、皮垂部分を少し大きめに切除することを心がけています。痔核根治術を施行する場合、この皮垂部分の切除が少ないと、内痔核は治っても、皮垂が残ったり、この部分が術後腫れて皮垂になってしまいます。ですから皮垂を合併している内痔核の場合は、通常の痔核根治術よりも皮垂部分を大きく切除するようにしています。

術後に新たに血栓が詰まる

 二つ目の皮垂が出来る原因ですが、術後排便の状態などが悪かったり、血栓性外痔核が出来てしまう要因が重なり、術後に新たに血栓が詰まってしまうことがあります。この場合は血栓性外痔核の後にできる皮垂と同じで多くは血栓が吸収されて皮垂を残さずに治っていきます。ただ一部血栓が吸収された後に皮垂がのころこともあります。ですから、術後に皮垂が出来ないためにも術後の排便の状態を良くすることはとても大切になります。

それでも皮垂はできることがある。

 このように術後に皮垂が出来ないように気を付けて手術をしていくのですが、やはりそれでも皮垂が出来てしまうことがあります。
 患者さんにとっては内痔核の脱出がなくなったとしても、また新たにできた皮垂が気になることになってしまいます。そんな時は患者さんと話をして、皮垂がやはり気になるときはもう一度その皮垂を切除することになります。私にとってもとても辛いことです。

 今後も皮垂のできる要素がないかどうか、もしあればそこもしっかり処置をして1回でスッキリ皮垂を作らずに治していくようにしていきたいと思います。また術後に皮垂が出来てしまう要因などを科学的に検証していきたいと思います。

次回は皮垂を切除した後にできてしまう皮垂に関してお話したいと思います。

075-441-4303 LINEで相談 痔の手術漫画 youtube twitter
一番上に戻る
一番上に戻る
痔の手術漫画LINEで相談0754414303
渡邉医院 痔のコラム お尻のことでお悩みの方 痔の手術専用NAVI ~監修:渡邉医院~渡邉医院の強み 女性のお尻のお悩みサイト

医院情報

院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

診療時間

診療時間 日・祝
9:00~12:00

※術後の患者さんも緊急対応いたします。
※日曜日・祝日は休診です。
※△は手術日となります。
※第3土曜日は休診にさせていただきます。
※完全予約制ですので、必ずお電話して頂き、予約してからの受診をお願いいたします。
予約の電話受付は平日12:00-14:30です。