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2020.07.25

肛門科の苦悩とあるべき姿

 新型コロナウイルスの感染がまた拡大しつつあります。このような状況の中で、患者さんも医療機関を受診すると、そこで感染するのではないかという不安もあり。受診を控えている患者さんもいます。必要な医療は必要な時に受けることが大事だと思います。
 各医療機関も新型コロナウイルスに対して、感染しないように様々な感染対策をしてきています。また、患者さんの意識も変わり、皆さんマスクを着用して受診されます。このような中さらに安心して治療に専念できるように、今以上に対策を行っていかなければならないと思います。
 さて、各医療機関は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経営的にも苦しい状態になっています。今年の34月のような状況がもう一度訪れると、経営が成り立たなくなる医療機関が多く出てくるのではないかと心配しています。そのような中で、ふと今まで書いた原稿をみていると、今から10年前の2010年に浜松で開催された日本大腸肛門病学会の原稿が目に留まりました。この内容を紹介したいと思います。
 この時点でもすでに肛門科では経営面などの問題点が揚げられていました。

 浜松で開催された学会の特別企画で「肛門科:クリニックの診療・経営戦略」というセクションがありそこで発表してきました。

 近年、肛門疾患の診断や治療法は様々な技術的な進歩によって、以前と比べて比較的容易に治療に関しての満足が得られるようになってきました。その反面、標準的な治療を蔑ろにする傾向もみられ、学会等においても様々な問題が惹起されています。また、肛門科の診療所では診療の内容の問題だけでなく、医療経済的にも苦悩しているのが現状です。

 肛門科の診療の形態には①無床で全ての手術を日帰り手術で行っている施設。②無床でも連携病院をもち、必要に応じて連携病院で手術して入院手術を行う施設。③有床で、入院手術を行う施設の三つの形態があります。

 また、医師も一人あるいは二人以上の体制があります。そんな様々な診療形態のなかで、日常の診療をどのようにしているのか、他の医療機関との連携や地域医療との関わり方などを示して、今後の肛門科の診療の問題点を明確にすること。また、患者さんの満足度、安全性、治療成績を向上させる工夫や経営戦略などやその苦悩について考えることを特別企画の目的としていました。私を含め13名の先生方がそれぞれの診療所、病院での取り組みや問題点などをシンポジウム形式で討論しました。

 渡邉医院は有床診療所で、診療の形態としては先ほどの三つの形態のなかでは、三番目の自院で入院手術を行い、肛門疾患専門での診療を行っています。この形態がとれる一番の要因は京都の西陣という地区での開業で、周りには多くの診療所や病院があり、肛門疾患だけを診察できるという環境があるます。地方の診療所や病院では、やはり周りの地域医療も支えていかなければならないため、肛門疾患以外の病気に関しても診療していかなければなりません。

 以前、私の大学のときの後輩が、肛門科で開業したいとのことで、当院に研修にきていました。自分の実家である山形県で開業をしたのですが、やはり地域医療にも携わらなければならないため、肛門疾患だけに特化した診療所の形態ではなく、さまざまな病気に対応せざるをえない環境のようです。

 こういった診療所の立地条件も大きく診療所の形態に影響してきます。渡邉医院が肛門疾患だけに特化して診療していけるのは、周りの診療所や病院の支えがあるからで、こういったことからも、病院と診療所、診療所と診療所の連携を今以上に強くしていくことが必要です。

 また、シンポジウムの中で、どのようにして患者さんにきてもらうかということについても討論になりました。

 私と同じように親子での医院の継承をした先生(この先生も私の大学のときの後輩で、一時当院に研修にこられていました。)が、医院を継承した後、患者さんが激減して40%減になったときの対応について話されました。このとき、「ひとりひとりをきっちりと診る。来た人が安心し、納得され、明るく元気になる。医療的な満足は当然として、治らない病気でも癒すことができる。」という理念をもって診療に努めることで患者さんが増えてきたと話されました。

 私も同様の経験をしました。私の父が病気で倒れ、京都に戻ってきたとき、もう26年前のことですが、私が診療を始めて1週間もすると患者さんが来られなくなり、いつも12時を待って午前の診療を終わる日が続きました。このときは、このままで診療をつづけていけるのかととても焦りました。患者さんが来なくなったとき、ねっとわーく京都という雑誌に「一代目他界、二代目闘病中、三代目奮闘中。渡邉医院を救うのはあなただ。」なんていう広告もだしました。今から思うと、なんという広告を出したかと思います。

 こんなとき、焦っている私に対して父が「何を焦っているんだ。診察に来られた患者さんを一人ひとりしっかり診察して治していけばいいんだ。」といいました。やはり患者さんも私の焦っている気持ちを感じられるのだと思います。
 満足度調査をした先生の報告があり、そのなかでもやはり患者さんは自分の訴えをしっかり聞いてくれて、病状をしっかり説明してともに治療し治してくれる医師に共感を持ち、信頼して病気を治すことに専念できる。こういった姿勢で医師は診療にあたらなければならないのだと確信しました。

 4年ほど前に肛門科不況がありました。肛門科を受診する患者さんがめっきり減った時期がありました。これは渡邉医院だけでなく、全国的な傾向でした。
 そんななか、様々なことを考えました。その中で一番感じたことが、診療だけでなく、肛門の病気やその治療方法などに関して、しっかりと正しい情報を発信できているかということでした。そしてそのことに対して、肛門の病気で悩んでられる多くの患者さんに正しく、そしてわかりやすく伝えていこうと、ホームページをつくり治しました。今後も患者さんが何を悩んでいるのか、そしてそれを解決するにはどういった治療があるのかなど、発信していきたいと思います。

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院名 渡邉医院
住所 〒602-8462
京都府京都市上京区浄福寺通今出川下ル
竪亀屋町255
TEL 075-441-4303

診療時間

診療時間 日・祝
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※△は手術日となります。
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