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2020.11.14

第75回日本大腸肛門病学会を終えて。Part1

 第75回日本大腸肛門病学会が終了しました。本来なら、今年は横浜での開催予定でした。新型コロナウイルスの感染拡大のためwebでの開催となりました。

 先生方の熱気、息づかいを聞きながらの学会ではなかったのですが、webでの開催ならではのいい点もありました。LIVEでの講演やシンポジウム、ワークショップ以外の発表は何時でもどこでも好きな場所で視聴できるのは良かったかなあと思います。またweb配信サイトは1227日の日曜日まで視聴することが出来るのでもう一度確認したいことがあればできます。この点もwebでの開催の利点かなあと思います。
 ただ学会場での独特の熱気。これは味わうことはできません。また、発表後の直接先生に質問もできません。学会が終ってからの懇親会での先生方の話を聞くのも勉強になるのですが、それもありません。この点については少し、いや大分物足りないところがあります。年に1回の学会場で会う先生方との会話も、学会の楽しみです。
 さて、来年は広島での開催になります。この1年でどうなっているのかわかりませんが、どんな形であれ、学会には参加して、しっかり勉強しようと思います。

 今日14日は休診にさせてもらいました。今回の学会での内容、感じたことをしっかり報告したいと思います。

 今年の学会はやはりweb形式であったためか、また学会そのものの開催がどうなるかということもあったのか演題は少なかったように思います。特に肛門に関しての演題は少なかったです。

 昨日は、シンポジウム「全周性に脱出する痔核に対する手術のポイント」に参加しました。 全周性と言うよりは3箇所の脱出する内痔核に関しての発表が多かったように思います。
 3箇所の内痔核の手術の場合はやはり、どのように内痔核を剥離して切除するかのデザインが重要になってきます。それぞれの内痔核を切除する創がつながってしまうと、術後の治りが悪くなってしまいます。また、内痔核を切除することのみに重きを置いて、切除後の肛門上皮が少なくなってしまうと、術後の狭窄にもつながります。また内痔核の根部結紮をする高さが同じ高さで結紮してしまうと、3箇所の結紮した部分が三角形の様に狭窄を起こすこともあります。やはり、3箇所以上の内痔核の手術を行う場合は、内痔核を同切除する科のデザインが重要です。これには熟練と経験がものを言ってくると思います。でも、そのことがだれにでもできるようにすることが手術の標準化につながっていきます。どのように切除するのかのデザインの標準化を検討しなければなりません。

 また3箇所の内痔核だけではなく、内痔核の脱出と伴って全周性に外痔核部分の腫脹があるものもあります。この場合は内痔核を同切除するのかと共に、外痔核部分の腫脹をどう切除していくのかも重要です。外痔核部分の手術の仕方によっては、術後皮垂を作ることにもなります。

 内痔核に対しての痔核根治術はオールマイティーの治療方法であるのですが、まだまだ改善の余地はあります。今後、このことに関してはしっかり検討していきたいと思います。

 14日土曜日は、まずはパネルディスカッション「ALTA療法の功罪」に参加しました。
 ALTA療法は、ジオンという痔核硬化剤を使って四段階注射法という方法で痔核硬化療法をする方法です。今まで痔核根治術をしなければならなかった第Ⅲ度以上の内痔核に対してALTA療法を行うことで、手術をしなくても治すことが出来るようになりました。手術とは違い傷を作ることなく治すことが出来ます。ですから簡単に言うとALTA療法の「功」は、傷を作ることなく治すことが出来るということです。ですから手術と違い痛みがありません。排便時も傷がないので排便時の痛みもありません。とても楽に内痔核を治すことが出来ます。
 しかし、ALTA療法の適応を見間違えると、内痔核が治るばかりか悪化してしまうこともあります。また、ALTA療法を行う際に副反応もあります。代表的なものにはALTA療法施行中、施行後の血圧低下や徐脈。また直腸潰瘍や狭窄などがあります。また施行後に2週間以内に38℃以上の熱発を起こすこともあります。いずれの副反応も保存的に経過を診ることで自然に治っていきます。
 ただ、こういった副反応があることをしっかり念頭に置いてALTA療法の治療に臨まなければなりません。医師は、「注射を打つだけで治る。」と安易に行うことはいけません。痔核根治術等、基本的な手術手技はしっかりマスターしてなければなりません。そしてさらに大事なことが、この内痔核がALTA療法の適応であるか、手術が必要なのかをしっかり診断でき、判断できる、そういった「見極める」ことができる技量を持っていなければならないということです。

 ALTA療法は「功」の方が大きな治療法です。その「功」をもっと生かせるようにさらに検討していくことが大事です。

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