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2020.11.14

「第75回日本大腸肛門病学会を終えて。Part2

 今回は「第75回日本大腸肛門病学会を終えて。Part2」を報告しますね。

 今年はwebでの学会だったので、直接先生方とあってお話はできませんでしたが、コンピューターの画面に知っている先生の顔が映ると、久しぶり肝と懐かしさが

湧いてきます。いつもだったらこの後先生方と飲みに行ったりして楽しいひと時を過ごしていたんだろうなあと思うと少し残念です。

 さて、昼からのパネルディスカッション「大腸肛門機能以上の評価と治療」に参加する前に幾つかの口演を視聴しました。

 その一つは「内痔核に対するフェノールアルモンド油(パオスクレー)を用いた硬化療法の有用性の評価と無効症例の検討」です。
 その結語は、「内痔核に対するPAOを用いた硬化療法は、特に出血例に対して有効であり、合併症もなかった。しかし、進行度が3度で病悩期間の長いものには無効の症例も認められた。」というものでした。
 渡邉医院では積極的にパオスクレーによる痔核硬化療法を行っています。私の祖父のころから痔核硬化療法を始めています。渡邉医院は90年すぎていますから、90年以上前から痔核硬化療法を行っていることになります。パオスクレーが出来る前は独自に痔核硬化剤を作って使っていました。そういったこともあって、痔核硬化療法に関しては渡邉医院は歴史と経験が豊富だと思います。

 パオスクレーの一番の適応は出血であることは間違いありません。パオスクレーは出血している内痔核には良く効き、パオスクレーの痔核硬化療法で内痔核の出血は治まります。ただ、脱出してくる内痔核に対してもある程度有効です。でも十分に効果を出すには、局注するパオスクレーの量が大切です。
 やはり1箇所の内痔核に対して5ml以上はしっかり打ちたいです。5ml以上と未満ではやはり効果が違います。特に脱出してくる内痔核に対しいては量が大事です。発表では全体で4mlとのことでした。やはりパオスクレーの量が少ないのではないかと思いました。
 渡邉医院では1箇所の内痔核に5mlを打つようにしています。ですから3箇所の場合は15ml打つことになります。ただ、1回で15mlを打つことが出来ないので、2回に分けてしっかり局注することにしています。

 もう一つ気になった口演が「温水洗浄便座使用状況と肛門疾患の関連についての考察」という演題でした。
 温水洗浄便座が登場して50年以上も経つんだなあとと思ったのと、日本国民の約7割が使用しているとのことでした。戸川純の「おしりだって洗ってほしい」というCMは衝撃的でした。
 私も以前日本大腸肛門病学会で温水洗浄便座に関しての発表をしました。温水で洗うことで肛門の血流が行くなるという内容の発表でした。
 ただ、洗浄便座によって肛門の具合を悪くすることがあります。この口演の考察のところに、「洗浄便座を日常的使用している患者では掻痒や便もれといった症状を訴える割合が比較的高く、一部の肛門疾患の増悪の要因となる可能性が示唆され、正しい使用方法の指導が必要と考えられた。」としていました。その通りだと思います。
 清潔にしようと思い、洗浄する際の水圧が段々強くなり、しかも長い時間洗浄してしまうことがあるようです。強い水圧で洗浄すると、そのことで肛門を傷つけたりすることがあります。また直接肛門に水が当たると、直腸の中に洗浄水が入っていってしまいます。直腸に入った水はどうなるかと言うと、あとから出てきます。そのことで反対に肛門が汚れたり、ただれて皮膚炎になる可能性もあります。また、口演の考察にあった様に、直腸内に水が入ってその水が出てくるときに便もれのような症状が出ることもあります。きれいにしようと一生懸命洗ったことが、反対にそのことが原因となって、肛門が汚れたり、便もれのような症状が出たり皮膚炎の原因、そして増悪に繋がってしまいます。やはり温水洗浄便座は軽く洗ってサッと拭くことに心がける必要があります。

 午後からのパネルディスカッション「大腸肛門機能異常の評価と治療」では大腸の動きや肛門の状態を評価する様々な検査などが紹介されました。
 なかなか渡邉医院のような小さな診療所ではできないなあと思う検査でした。でも、必要と思われる患者さんはこのような検査などをしてもらい、大腸の動きなどの状態を診てもらい、正しい治療へとつなげていかなければならないと思いました。
 そのパネルディスカッションの中で「刺激性下剤依存症とその治療」という演題がありました。センナ、アロエ、ダイオウなどの刺激性の下剤を長期間連用すると、耐性が生じ、次第に大腸内外平滑筋間のアウエルバッハ神経叢が障害され、重度になると障害は不可逆性となって大腸通過時間が遅延してさらに多量の下剤を要する悪循環に陥るとしています。刺激性下剤を内服することで、大腸の動きを悪くしてしまい、そのことが元に戻らない状態になってしまうということです。やはり、便秘を治す適切な下剤を適切に内服して便秘を治すことの重要性、そして医師も安易に刺激性下剤を処方しないようしていくことが必要であるという話をされました。便秘は焦ることなくじっくり治していく必要があります。

 最後に、午前中の演題等が終った後、製剤メーカーが主催のセミナーがあります。その中で講演していた医師の話の中で印象に残ったのが食事に関してです。今、コロナ禍のなかで、一人で食事をする「孤食」が増えてきているという指摘がありました。皆で楽しく食事をするときは「主食、主菜、副菜」といったバランスのいい食事がとれるのに対して、「孤食」ではそういったバランスの良い食事が摂れず、栄養面だけでなく便秘にも悪影響がでるというお話でした。まだまだ収束がみえないなか、食事のことも気を付けていかなければならないなあと感じました。

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