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2021.09.08

新型コロナウイルス感染症をめぐる課題1

 私は京都府保険医協会という京都府の開業医が構成している医療団体の役員をしています。先日、理事者学習会が開催され、そこで私が報告した内容を紹介しようと思います。

 テーマは「新型コロナウイルス感染症をめぐる課題」で、大きく二つのことについて報告しました。
 一つは、医療提供体制をめぐる課題、そしてもう一つはポストコロナを見据えた医療政策の動向についてです。
 まずは一つ目の医療提供体制をめぐる課題について紹介します。次回はポストコロナを見据えた医療政策の動向について紹介します。

「新型コロナウイルス感染症をめぐる課題」

新型コロナウイルス感染症をめぐる課題と協会の取り組みに関してお話しします。内容としては一つは医療提供体制をめぐる課題、そしてもう一つはポストコロナを見据えた医療政策の動向について。この二つに関してお話ししていきます。

まずは、医療提供体制をめぐる課題です。

今年の5月6日、新型コロナウイルス感染症の第4波が押し寄せる中、自宅療養中だった京都市の20代男性が亡くなる事例が発生しました。

ご本人は入院を希望していたが、京都府入院医療コントロールセンターは基準に該当せずと判断。京都市保健所が健康観察していましたが、5月5日に連絡がつかなくなり、6日未明に死亡が確認されました

このように一たび感染が拡大すると、病床が逼迫している中では、陽性でも入院できず、自宅療養・入院待機の患者さんが増加します。連日600人を超える患者さんへの健康観察を充分に行うだけのキャパシティを現在の京都市保健所は持っていないのではないでしょうか?

 さて、京都府におけるコロナ対策はどのようになっているかです。

PCR検査等で「陽性」が判明すると、患者さんの身柄が「主治医」から「保健所」に移されます。

保健所が中心になり、患者さんの処遇が決められます。

法律上は、指定感染症のうち、2類感染症の患者さんは「入院勧告」の対象なので、入院してもらうことが基本になります。入院することで本来ならば、主治医の手を離れた患者さんもしっかりと新しい入院医療機関への主治医につなぐことができます。でも現状ではそれができない状況になっています。

感染が拡大するなか、病床が不足するため、自宅療養や宿泊療養の患者が増えています。

 いくら「家庭医」「主治医」がいたとしてもいったんその手を離れてしまった患者さんが入院できないとなれば、その患者さんには医療を提供することができなくなります。ここが一番重要なところです

なぜこのような状況になってしまったかです。ここに入院病床数があります。感染症対策の根拠法である感染症法に基づいて設置されている京都府の指定感染症病床は、もともとは38床だけです。今回のような新興感染症のパンデミックに対応できる病床がそもそも確保できていなかったということです。

 

 次に京都市保健所の逼迫です。

 京都市のコロナ対応業務が激増し、1000時間超の残業者が38人であることが、京都新聞で報道されました。 

そのうち年間で残業が多かった京都市職員の上位5人はいずれも保健所所属の職員でした。いずれの職員もここにあるように1600時間を超えています。

新型コロナウイルスは感染者だけでなく、それに対応する保健所等の市の職員、医療従事者の命を奪うことになります。

では問題の所在はどこにあるのかです。

現在の基本的なルールは、陽性が確認されると主治医の手を離れ、当該患者が入院できない場合、保健所がその患者の医療に責任を持つことになります。

したがって、保健所が逼迫し、健康観察が十分に出来なくなれば患者は「主治医」の役割を担う者を失うことになってしまいます。新興感染症という治療法も確立していない未知の疾患の患者だけが、医療から遠ざけられることになります。

本来ならば陽性者は「主治医」から離れると同時に入院医療での「主治医」を持ち、医療が提供できなくなる空白を生まないように法律上はなっています。でもそれが今はできていません。

自宅療養の患者さんの生命を守るために、自治体と地域の医療者が連携し、新たな枠組をつくる必要があります。

そこで、協会が京都市に要請した内容が以下の三つです。

一、 入院待機中・自宅療養となっているすべての患者さんに対する保健所による健康観察を、今の一か所の集約ではなく、11区役所並びに3支所において行うこと

一、 そのために、専門職をはじめとした職員を各区役所に再配置し、各区役所の職員と共に健康観察業務をおこなうこと。また同時に、医師・保健師を増員すること。京都新聞の報道にもあったように過度な労働にならないように職員の生命・健康を守ること 

一、 各区役所・支所は、やはり地区医師会や地域の医療機関との連携し、担当する医師(主治医)、保健師を決め、容体に応じて、柔軟に対応できるようにすること。

です。

 

 このような要請の中、今度は宿泊療養中の60歳代の患者さんがなくなるという悲劇が今年の526日に再び起きました。

20日に入所以来、高熱が続き、施設では看護師の健康観察と出務医師の診察も受けていましたが、急変し、亡くなりました。

この事例は、宿泊療養施設では必要な医療が保障されるための医療体制が不十分であるということを明らかにしました。

<問題の所在>

まずは、宿泊施設が単なる「隔離」の場所ではなく、患者の生命・健康を守る十分な医療が提供できるような体制にすることが求められます。国による制度運用を見直すこと、そして自治体と保健所と地域の医療者が力を合わせて体制を構築することが求められています。

ようやく抗体カクテル療法等、新型コロナウイルス感染症の治療薬も開発が進んでいます。でも、現在の体制では入院患者にしか提供できません。この点も具体的な解決が求められているのではないでしょうか。

 そして外来でも、そして自宅でも治療できる治療薬が私たち開業医は望んでいます。

 何の武器を持つことなく、コロナに対抗することはできません。自分の無力さを感じなくて済む治療法が早く出てきて欲しいと思います。

 

 こういった、宿泊療養者に対しての要請を出しました。

. まずは医師の配置を強化することです。各施設内の患者の状況や医療の提供状況を一元的に管理できる専任の医師を常勤で配置すること

. そしてその医師の下に、出務医師や看護師が、チームで医療ができる体制を確立すること

. さらに、看護師についても、正式に京都府と雇用関係を結ぶこと

. 医師は、24時間・365日間配置すること

. 必要に応じて出務する医師による対面診療も可能とすること

. 急変時等、即応の求められる際には、現場医師の判断により、容体に応じて必要な対応が臨機応変に行えるようにすること

これら6項目を要請しました。

また86日には次のような要請をだしました。

 「陽性患者に「良質かつ適切な医療を受ける権利」を保障せよ」(2021.8.6

一、 新型コロナウイルス感染症の陽性患者は入院治療が原則であることを再確認し、一層の受け入れ病床確保が進むよう、さらに努力すること

一、 宿泊療養施設をさらに確保するとともに、同施設の機能を可能な限り病院に近づける方向で努力をすること。

一、 地域の医療者による宿泊療養施設・自宅療養者への医療提供を可能とするため、保健所の機能を拡充し、密接な連携体制がとれるようにすること。

一、 上記を前提に、抗体カクテル療法が宿泊療養施設・自宅療養においても実施できるよう適応を拡げ、十分確保すること

 さて、ワクチンに関しても課題があります。

ワクチンをめぐって協会は繰り返し、府・市に接種体制の強化を要請し、自治体もそれを受け止め、改善を重ねてきました。

ようやく体制が整い、集団接種・個別接種ともに接種が進むと思った矢先に、国が供給不足を明らかにしました。これにより、接種医療機関や自治体はせっかくの予約をキャンセルしてもらう業務を強いられることになりました。

協会は、国がワクチン供給の全体像を明らかにし、十分なワクチンが地域に届くよう、国に対しても要請を行っています。

そして国にワクチン供給に関して以下のような質問をしました。

1.何故ワクチンが需要過多に陥ったのか?

2.解決のために具体的に都道府県、市町村、医療機関は何をすればいいのか?

3.いつごろにどれだけの供給があるのかを明確に示していただきたいこと。

4.ワクチンの供給量が不足で、接種を実施している医療機関などで混乱が起こっている中、なぜ大規模接種を優先するのか?

しかしながら、これに対しての回答はまだ国からはありません。

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