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2018.02.18

第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討.(第61回日本大腸肛門病学会)

 今回は、「第3度以上の内痔核に対する5%フェノールアーモンドオイルによる痔核硬化療法の効果と経過についての検討」という発表内容を紹介します。
 内痔核の治療方法に痔核硬化療法という治療方法があります。今では、今回紹介するパオスクレー(5%フェノール・アーモンドオイル)とジオン(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸水溶液)の2種類の痔核硬化剤での痔核硬化療法が健康保険で治療できる保険適応となっています。
 ジオンが保険適応として登場するまではパオスクレーという痔核硬化剤でした。
 内痔核はその病状で第1度から第4度までの4段階に分かれています。それぞれの段階で治療方法が違ってきます。
 現在、渡邉医院では、第1度と第2度にはパオスクレーによる痔核硬化療法を、第3度にはジオンによる痔核硬化療法と適応を決めています。しかし、現在でも第3度の内痔核でも小さいものなど、適応を選んでパオスクレーによる痔核硬化療法を行っています。
 今回の発表内容は、第3度の内痔核に対してパオスクレーによる痔核硬化療法を行ったことに関して検討しています。

発表内容

  今回3度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル以下PAOによる痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過について検討しました。
  対象は、3度以上の内痔核に対して痔核硬化療法を施行した278例中、再発に対して2回以上痔核硬化療法を施行した症例及び手術を施行した135例としました。
  135例について、再発時に痔核硬化療法を施行するまでの期間、手術に移行するまでの期間、再発時の内痔核の状態の変化を検討しました。
 痔核硬化療法は、無麻酔下に筒型の肛門鏡を用いて、1箇所の内痔核に対して、5ml以上のPAOを局注しました。
  PAOの効果に関する文献では、その効果は、線維化が始まる1週間後から現れ、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注すると有効率が高くなる。また、再発に関しては、粘膜下層に十分な量のPAOが局注されていないと数ヶ月後に再発してくる。再発時には何回か繰り返すことで再度効果を得られ、脱出する内痔核にも繰り返し施行することで脱出してこなくなる場合がある。ただ繰り返すことで粘膜下の癒合が強くなり、PAOの注入が十分にできなくなってくるとされています。そこで、初回に最大の効果をねらう必要があり、十分な量のPAOを粘膜下層に局注する必要があります。
 当院ではPAOの効果で線維化が始まる1週間の間に2回痔核硬化療法を行い、1箇所の内痔核に対して5ml以上のPAOを局注しています。
  痔核硬化療法の施行回数は平均3.1回でした。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行したのは111例、手術は24例でした。再度再発して痔核硬化療法を施行したのは60例、手術は16例でした。
  再発までの期間は、平均468.5日で、再発までの期間に有意差は認めませんでした。手術までの期間も初回再発時手術と再度再発した際に手術を施行した群の間には有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法施行後の内痔核の状態は、初回再発に対して痔核硬化療法を施行した111例のうち、1度であったものが16例、2度が53例、3度以上が42例でした。再度再発し3回以上痔核硬化療法を施行した60例のうち、初回再発時に1度であったものは8例、このうち再発時に1度であったものが4例、23例、3度以上1例でした。同様に2度であったものは28例、16例、216例、3度以上6例。3度以上であったものは24例、16例、25例、3度以上13例でした。60例の最終の内痔核の程度は、116例、224例、3度以上20例で、初回再発時の割合と有意な差は認めませんでした。
  痔核硬化療法を2回施行後、再発時に手術を施行した16例をみると、初回再発時に1度であったもので手術を施行したのは1例、2度では7例、3度以上は8例と有意差は認めませんでしたが、初回再発時に内痔核の状態が軽度なほど次回再発時に手術を施行する症例も少ない傾向にありました。
  また、初回再発時に痔核硬化療法を施行した際の内痔核の状態によって再度再発した時の内痔核の程度に差があるかを比較すると、初回再発時の内痔核の状態が3度以上である症例では、再度再発した際も3度以上にの症例が有意に多く認めました。
  以上より、1回の施行や、何回か繰り返すことで1度・2度に軽快する症例があり、また、初回再発時に1度・2度まで軽快している症例では再度再発時に3度以上になる症例が少なくなることから、PAOによる痔核硬化療法は3度以上の内痔核に対しても初回に最大限の効果を得るために十分な量のPAOを粘膜下層に局注することで有用な治療法になると考えます。

 抄録を紹介します。

抄録

 第Ⅲ度以上の内痔核に対しての治療は、結紮切除術や最近ではジオン注などが行われている。今回我々は、第Ⅲ度以上の内痔核に対して5%フェノールアーモンドオイル(以下PAOとする)による痔核硬化療法を施行した症例についてその効果と施行後の経過に関して検討した。
【対象】第Ⅲ度以上の内痔核に対してPAOによる痔核硬化療法を施行した278例(男性162例、女性116例)を対象とした。
【方法】痔核硬化療法を施行した278例のうち、2回以上施行及び再発時手術を施行した症例は135例(48.6%)であった。この135例について①2回目以降の痔核硬化療法施行までの期間、②手術に移行するまでの期間、③2回目以降の内痔核の状態の変化について検討した。痔核硬化療法は無麻酔下に肛門鏡を用いて1箇所の内痔核に対してPAO5ml局注した。
【結果】痔核硬化療法を施行回数は2回から最高8回で、平均3.1回であった。痔核硬化療法を施行し初回の再発時に手術を施行したのは24例であった。2回以上痔核硬化療法を施行したのは111例で、このうち2回以上施行後に手術を施行したのは16例で、手術を施行しなかったのは95例であった。再発時2回目以降の痔核硬化療法施行までの平均期間は、2回目598.1日、3回目511.2日。4回目551.1日、5回目417.0日、6回目281.0日、7回目536.8日、8回目384.0日で、それぞれの期間には有意差は認めなかった。再発に対して2回目の痔核硬化療法を施行した症例は111例(82.2%)で、このうち69例(62.2%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快していた。42例(37.8%)は第Ⅲ度、Ⅳ度であった。第Ⅲ度、Ⅳ度であった42例中24例(57.1%)がさらに3回以上痔核硬化療法を施行した。このうち11例(45.8%)が第Ⅰ度、Ⅱ度に軽快した。
【まとめ】第Ⅲ度以上の内痔核に対するPAOによる痔核硬化療法は、根治性に関しては満足しうる結果とはいえないが、1回の施行で第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例や、何回か繰り返し施行することで第Ⅰ度、Ⅱ度まで軽快する症例があった。麻酔の必要がなく外来で簡便に何回も施行でき、疼痛や出血等の合併症も少ないことから、第Ⅲ度以上の内痔核においても有用な治療手段と考える。

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