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2022.07.27

便秘フォーラム「CKD患者の便秘治療の最前線」に参加して。

 皆さんこんにちは。
 いよいよ地固療法の最終クールが始まりました。726日、27日と2日に分けて12時間毎にキロサイドを投与します。後はどうしても前回同様に骨髄抑制が来るので、G-CSFを投与しながら、白血球が増加してくるのを「待つ」ことになります。この間の感染症には気を付けなければなりません。これが終わると残すは最後、「自家血幹移植」を待つのみです。もう一息のところまで来ています。最終コーナー、気を引き締めて頑張っていきたいと思います。

 さて今回は、「便秘フォーラム」にWEBで参加しました。その時の内容を紹介しますね。
 今回のテーマは「CKD(慢性腎臓病)患者の便秘治療の最前線」でした。
 まずはCKDとは何かです。
 CKD(慢性腎臓病)とは、腎臓の働きGFRが健康な人の60%以上低下するか、タンパク尿が出るといった腎臓の以上が続く状態のことで、難しくなりますが、定義にはこう記されていました。
①蛋白尿(微量アルブミン尿を含む)などの尿異常。画像診断や血液検査、病理所見で腎障害が明らかである状態。
②血清クレアチニン値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が60mL//1.73ml未満の状態。
このいずれか、または両方が3カ月以上続いている様態。
CKDと定義されています。
 やはり、年齢と共に腎機能が低下していくため、高齢者になるほどCKDが多くなっています。また、CKDの患者さんはどうしても透析に移行しやすいことになります。

 今回のテーマ「CDK患者の便秘治療の最前線」とあるように、どうしてもCKDの患者さんや透析をされている患者さんは便秘になりやすいです。
 さて、透析患者さんの現状の報告もありました。やはり、糖尿病性腎症の患者さんが透析患者さんの一番を占めています。次が腎硬化症の患者さんが増加して二番目に多くなってきています。いずれも高齢化によっておきるので、いずれの疾患からの透析に移行される患者さんも高齢者に多くなって来ています。現在、透析患者さんは35万人。そのうち70歳以上の方が55.6%となっています。日本の透析の寿命は世界一だそうです。でも透析患者さんの健康寿命の延長を考える必要があるとのことでした。健康な方の健康寿命と同じです。

 ではなぜ透析患者さんに便秘の方が多いかです。
一つは透析することで、体から水分が引かれていきます。このため、便意行く水分量が減って便秘になる。
 もう一つは、透析の患者さんの食事の摂取量が少ないとのことです。このことによって、食物繊維の摂取量も減ってしまいます。やはり、透析を行った日の食事が十分に摂れないとのとのことでした。
 私も、前回のクールで造血幹細胞の接種を行いました。透析の患者さんと要領は同じです。私の場合は、右鼠径部の太い静脈から血液を取り出し(脱血)、造血幹細胞採取器を通って左の肘の静脈に血液を返す(返血)を行いました。とてもしんどく感じ、透析の患者さんは、これと同じことを週3回しているんだと思うと、大変なことをされているんだなあと思いました。

  また、どうしても透析の患者さんは運動不足になってしまいます。特に透析日には短くなります。
 内服薬にも便秘になりやすいお薬を飲まなければなりません。例えば、リン吸着薬です。その中でも特にポリマー系の内服薬が便秘になりやすいとのことです。

 また、残薬の多いのが便秘薬だそうです。透析中に排便したくなることが気になるからだそうです。これも良くわかります。
 私は排尿でした。4時間~5時間の間採取していました。どうしてもトイレに行きたくなったので、一旦回路を外してもらってトイレに行き排尿しました。
このようにいろんな原因で便秘になりやすくなっています。

 さて、便秘に関してお話がありました。
 年齢別の便秘の傾向としては、便秘は若い女性に多く、高齢になると男性も女性も同じ割合になるとのことでした。これは渡邉医院の統計とも同じ傾向です。渡邉医院でも、男性では年齢と共に便秘の患者さんが増える傾向があります。女性に関しては、若い世代、20代から40代に一つのピークがあり、その後は男性と同じように年齢と共に便秘の患者さんが増える傾向にあります。

 便秘の原因は次のようにお話しされました。
 原因としては、食物繊維の摂取量が少ないことをまず挙げておられました。穀物や野菜の摂取量が少なくなり、日本人の食物繊維の平均摂取量は14.2gと少なく、欧米人よりも少ないとのことでした。
 もう一つの原因に高脂肪職を上げておられました。エネルギー源として、炭水化物から脂肪へと変わっていく。こういった日本人の食生活の変化がべんぴの増加ではないかと話されていました。

 さて、透析の患者さんが便秘の原因は、まずは透析による体からの除水です。
 どうしても体の中の水分が減ると便に行く水分量も減り、便が硬くなってしまいます。
 また、透析に移行する患者さんの基礎疾患として一番多いのが糖尿病性腎症です。糖尿によって末梢神経の麻痺が起きます。このことによって腸管の蠕動運動が悪くなり便秘になります。
 また、透析中の排便の我慢。これも便秘の原因になるともお話しされていました。本来ならば、直腸に便が来てスッキリ出してしまうことが大切です。我慢して残ったままにしておくと、直腸で便が硬くなってでなくなってしまうだけでなく、大腸全体に便がたまってしまいます。
 また、食事接種の低下も便秘の要因に挙げていました。
 糖尿病性腎症にも関係がありますが、腸管の動脈硬化が起きることでも腸管の動きが悪くなり便秘になります。

 さて、便秘は生命予後にも影響があるとお話しされました。これは便秘が循環器系の疾患やCKDの発症にも影響を与えるからです。
 私も初めて聞きましたが「腸腎関連」と言う言葉があるそうです。
これは便秘になることで、腸内の尿毒素が増加し、そのことによって腎機能を悪化させる。そして腎機能が悪くなることでさらに便秘になるといった悪循環を生み出します。このことを、「腸腎関連」と言うそうです。したがって便秘を改善することで大腸由来の尿毒素を減らすことで腎機能の改善の可能性があるとのことでした。

 さて、治療に関してです。
 便秘に関しての第一選択は酸化マグネシウムなどの浸透性下剤です。
 しかし腎機能が悪い方は酸化マグネシウムの長期服用で血液の中にマグネシウムが蓄積されていき、高マグネシウム血症を起こしてしまうことがあります。
 そこで腎機能の悪い方や透析患者さんには胆汁酸トランスポーター阻害剤、製材名ではエロビキシバット水和物、総称名はグーフィスです。
 これに関しては以前ブログで紹介しているので参考にして下さいね。

 フォーラムの最後にこんな質問がありました。
 「透析の患者さんは、どのタイミングで内服したらいいのか?」です。
 その回答は、「内服してから約5時間後に効いてくるので、透析日は透析の後に内服。透析をしない日(非透析日)は朝食後に内服。」との回答でした。
 もう一つの質問は、「センナなどの刺激性下剤をどのように止めていったらいいのか?」の質問に対しては、「長期に刺激性下剤を内服していた方は、突然辞めないで、いつも内服している刺激性の下剤を継続して飲みながら、グーフィスを内服し、徐々に刺激性下剤を減量、そして止めていくようにしています。」でした。

 今回は、「CKD患者の便秘治療の最前線」というテーマでしたが、参考になることが多かったと思います。また、勉強会等に参加したら、その内容を報告しますね。

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