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2018.08.04

症状からみるお尻の病気ー脱出編ー

 今回は、「症状からみるお尻の病気ー脱出編ー」についてお話します。
 肛門科を受診される患者さんの症状で多い症状が、出血、痛み、そして今回お話しする脱出です。
 患者さんの訴えの中には、「排便時に何か肛門から出てきて押し込んでいる。」とか「肛門に何か出たままになっている。」などの症状を訴える患者さんが多いです。「最初は排便時に出てきても自然に戻っていたのが、だんだん戻らなくなって押し込むようになる。それが押し込めなくなってきた。」と、出てくる症状がだんだん強くなってくることもあれば、「昨日まで何ともなかったのに、今日急に何か出てきた。」という症状のこともあります。また、「痛みはないが、排便時に出てくる。」とか、「いつも出たままで痛みがある。」「いつも出ているが、痛みはない。」。また、出血を伴ったり、伴わなかったり。ただ、脱出してくるという症状にもいろんなパターンがあります。今回はその脱出、「出てくる。出ている。」という症状についてお話します。
 まずは、「排便時にイボのようなものが出てきて押し込んでいる」という症状ですが、いろんな病気で「イボが出てくる」という症状が出ます。肛門科に受診され、排便時に脱出するという症状で一番多いのが内痔核です。また、裂肛が原因で肛門ポリープができることがあり、この肛門ポリープが出てくることもあります。また、直腸にできたポリープが大きくなってきて、排便時に出てくることもあります。場合によっては、そう多くはないと思いますが、S状結腸のポリープや癌が排便時に肛門の外に出てくるといったこともあります。排便時に出てくるという症状でもいろんな病気があります。
最初に一番多い内痔核についてお話します。内痔核の程度は病状によって四段階にわけられます。第Ⅰ度の内痔核から第Ⅳ度の内痔核まであります。第Ⅱ度の内痔核になると、排便時に内痔核が外に出てくる、脱出という症状がでてきます。でも押し込むことはなく、直ぐに自然に肛門の中に戻ってくれます。これが、第Ⅲ度の内痔核になると、排便時に内痔核が脱出してきて出たままの状態になり、指で押し込まないと戻らなくなっていきます。さらに悪くなって、第Ⅳ度の内痔核になると、内痔核は常に肛門の外に出たままの状態になって、押し込もうとしても押し込めなくなっていきます。ただ、内痔核だけの場合は第Ⅳ度の内痔核になって、出たままの状態でも痛みはありません。内痔核に血栓が詰まって脱出したままの状態(嵌頓痔核)になったり、内痔核が出たり戻したりしているうちに、肛門上皮(肛門の皮膚の部分)に傷がつき、裂肛を伴うと痛みが出てきます。第Ⅲ度以上の内痔核になりますと、排便時にポタポタ出血したり、場合によってはシャーっと音がするように出血することもあります。内痔核が第3度以上になりますと、痔核根治術やジオンによる四段階注射法(ALTA療法)が必要になってきます。
 次は裂肛が原因で肛門ポリープができ、その肛門ポリープが排便時に出てくることがあります。便秘や下痢などで肛門上皮に傷がつく病気を裂肛いますが、切れたり治ったりを繰り返していくうちに、炎症による肛門ポリープが出来てきます。症状としては裂肛が基本にありますので、排便時の痛みや排便後にも持続する痛みがあります。肛門ポリープができるということは、慢性の裂肛ということです。裂肛根治術が必要となることが多いです。ただ、裂肛は治っていて、肛門ポリープだけが排便時に出てくるということもあります。この場合は、肛門ポリープの根元を糸で縛って切除するだけで済むこともあります。裂肛の手術は痛みをとることが目的です。排便時の痛みが強い人ほど、手術後の痛みは楽になります。
 次は「排便に関わらず常に肛門に何か出ている。」という症状です。
これにもいろんな病気があります。急にできて痛みを伴う血栓性外痔核、裂肛が原因での皮垂(シワ、イボ)や、内痔核が原因での皮垂(シワ、イボ)などもあります。また肛門部の疣贅やヒトパピローマウイルスによってできる肛門部の尖圭コンジロームなどがあります。常に出たままの状態になっているという症状で多いのが、血栓性外痔核と皮垂です。
 血栓性外痔核は、肛門の外側の静脈に血栓(血豆)が詰まって腫れて痛い病気です。でも、自然に腫れが引いて、血栓は溶けて体に吸収されて治っていきます。消炎鎮痛剤の坐薬などを使うと腫れは引き痛みは楽になります。冷えたり、忙しかったり、また寝不足だったり、ストレスがかかると、血液の流れが悪くなります。またストレスがかかると血小板がくっつきやすくなって、血栓ができやすくなってしまいます。また今、この暑い時期、汗が出て十分に水分の補充が出来ないと、血液が濃くなって血栓ができやすくなってしまいます。しっかり水分をとることも必要です。そんないろんな条件がそろって、最後は排便時に強く力んだり、重たいものを持って、お腹に力が入ったときに急に血栓が詰まってしまうことがあります。消炎鎮痛剤の座薬などを使って自然に治っていきますが、痛みが強い場合や血栓が大きい場合は、手術で血栓をとることがあります。痛みをとることが目的ですので、手術をして血栓をとると、痛みはスッとよくなります。入院の必要もありません。
 次は皮垂です。皮垂は裂肛や内痔核、また、血栓性外痔核によってできる皮膚のたるみ、しわです。裂肛の場合はポリープ状になることもあります。
 裂肛では肛門上皮に傷がついたり治ったりすることで、裂肛の外側に皮垂ができることがあります。
また内痔核が腫れたり治まったりすることで、内痔核ができる場所の外側に皮垂ができることがあります。皮垂のできている場所によってその原因がわかります。
 皮垂は悪いものではありません。必ず手術でとらなくてはならないものではありません。ただ、皮垂があることで、排便後に拭きにくいとか、違和感がある。そのために一生懸命拭きすぎたり、洗いすぎることで皮膚炎になってかゆみが出たりします。また皮垂そのものが気になってしまうなどの症状があります。やはり嫌なものをそのままにして我慢することはよくないことかなと思います。そういった場合は、皮垂の切除もします。入院の必要はありませんが、皮垂の原因となる内痔核や裂肛はしっかり治しておく必要はあります。
 今回は「症状でみるお尻の病気ー脱出編ー」についてお話しました。すべての病気をお話することはできませんでしたが、主な病気はお話できたと思います。今回も少し長くなってしまいましたが参考にしていただければと思います。

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